考えた上でのプリン
「考えた上でのプリンです。」
そんな一言を添えてプリンを差し出されたら、たぶん私は笑ってしまう。
「プリンに、そこまで考えることある?」
そう返すだろう。
でも、その笑いはすぐに止まる。
よく考えると、私たちは毎日それを繰り返しているからだ。
人は、プリンを選ぶときでさえ迷う。
固めがいいか。
なめらかがいいか。
少し高いご褒美プリンにするか。
いつもの百円ちょっとのプリンにするか。
今日は甘いものを食べてもいい日なのか。
ここまで考えて、ようやく一つを手に取る。
でも、どれだけ考えても。
そのプリンがおいしいかどうかは、一口食べるまで分からない。
未来というものは、いつもそういう仕組みになっている。
私は昔、「考える」ということは賢さだと思っていた。
慎重であること。
失敗しないこと。
遠回りしないこと。
それが大人なのだと。
だから考えた。
人より考えた。
眠れなくなるくらい考えた。
答えが出るまで考えた。
安心できるまで考えた。
……でも、ある日気づいた。
考えることと、前へ進むことは、別の能力だった。
人はよく、
「考え抜いて決断しました。」
と言う。
その言葉には重みがある。
覚悟も感じる。
でも、本当に考え抜いた人ほど知っている。
考え抜いた先にあるのは、答えではない。
「もう、分からない。」
という場所だ。
そこまで行って初めて、人は理解する。
未来は、思考では征服できない。
だから最後は、考えることをやめた人ではなく、
分からないまま一歩を踏み出した人が、未来を知る。
私は人生を、本棚のようなものだと思っていた。
知識を増やせば。
経験を集めれば。
答えはどこかにあるはずだと。
でも人生は、本棚ではなかった。
冷蔵庫だった。
開けるまで中は分かる。
ラベルもある。
値段も書いてある。
栄養成分も書いてある。
口コミまで見られる。
それでも。
味だけは書いていない。
それなのに私たちは、
「味が分かるまで開けません。」
と言っているようなものなのだ。
人生の不思議はここから始まる。
考えれば考えるほど、選択肢は増える。
あっちの方がいいかもしれない。
いや、こっちかもしれない。
もっといいものがあるかもしれない。
すると不思議なことが起きる。
選べなくなる。
自由が増えたのに、不自由になる。
情報が増えたのに、不安になる。
選択肢が増えたのに、動けなくなる。
考えることは、光を増やす行為ではない。
影を増やす行為でもある。
だから人は、正解を探す。
でも、人生には残酷な秘密がある。
正解は、選ぶ前には存在しない。
選んだあとにしか、生まれない。
「あの仕事が正解だった。」
「あの出会いが運命だった。」
「あの日が人生を変えた。」
全部、あとから付けた名前だ。
あの日はただの平日だった。
ただの帰り道だった。
ただのプリンだった。
考えた上でのプリン。
私はこの言葉が、少し好きになってきた。
なぜなら、この言葉には人間らしさが全部入っているから。
人は、明日のことを考える。
十年後のことを考える。
誰かの気持ちを考える。
まだ起きてもいない失敗を考える。
そして、考え疲れて動けなくなる。
でも、その姿は愚かではない。
未来が見えないことを知っている生き物だけが、「考える」という行為をする。
犬はプリンを見れば食べる。
猫も食べる。
でも人間だけは、
「本当にこれでよかったのだろうか。」
と、プリン一つに人生を映してしまう。
だから私は最近、少しだけ考え方を変えた。
考えることは、大事だ。
でも、考え続けることが大事なのではない。
考え終えることが大事なのだ。
「ここまで考えた。」
そう言えたら、あとは食べる。
甘ければ笑う。
思ったより普通なら、それも笑う。
口に合わなければ、次は違うものを選べばいい。
人生は、その繰り返しなのだから。
もしかすると、人は死ぬ瞬間まで考え続ける生き物なのかもしれない。
「あれでよかったのかな。」
「違う道もあったのかな。」
その問いに、完全な答えは出ないだろう。
でも、一つだけ言えることがある。
最後に思い出すのは、考えていた時間ではない。
笑った時間だ。
泣いた時間だ。
誰かと分け合った時間だ。
つまり、「味わった時間」だ。
人生は、思考でできているようで、実は体験でできている。
だから今日も私は考える。
少しだけ迷う。
少しだけ怖がる。
そして、蓋を開ける。
結局のところ、人生とは。
「考えた上でのプリン」を、何個食べたかではなく、どれだけ「おいしかった」と笑えたかでできているのかもしれない。
ここまで読んでくださり、
ありがとうございました🐽✨
あなたの感想が、
次の物語を書くエネルギーになります。
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僕は今日もブヒブヒ頑張れます🐷💪
また、別の物語でもお会いできたら嬉しいです🤝🌙



味わってみないと!確かにそうですね。
今の私が10年前の私では想像できないことばかり、味わっている。
コンビニでプリン買って帰ろう!!
何が正解かほんとにわからない
例えば私は前職から転職して今になるのだが
過剰労働だった前職が完全に失敗かといえばそうでもないように思う
当時は失敗だななんて思ってたことも
転職目線で言えば、経験をつめた貴重な時間だったとも言える
転職した今もそう、
複数ある会社のなかで、もっといいものはなかったのか
それは正直わからない
わからないけど、
しっかり味わって
楽しんでいければな、なんて思う