シャボン玉に映る君
風は、
思い出を運ぶのが上手だ。
公園の木々を揺らし、
草花を撫で、
誰かが吹いたシャボン玉を、
空へ連れていく。
その一つが、
僕の目の前でふわりと止まった。
透明なはずなのに、
そこには空が映っていた。
雲が映っていた。
揺れる木漏れ日が映っていた。
そして、
笑いながら走る、
小さな君が映った。
まだ三歳くらい。
短い足で一生懸命走って、
届きそうで届かないシャボン玉へ、
両手をいっぱいに伸ばしていた。
「もう少し。」
そんな声が聞こえた気がした。
でも、
次の瞬間には、
ぱちん。
シャボン玉は、
何事もなかったように消えた。
不思議だった。
消えたのはシャボン玉なのに、
景色だけが残った。
君の笑顔。
転んでは笑い、
割れては笑い、
また空を見上げる姿。
あの頃の君は、
失うことを知らなかった。
だから、
怖がることも知らなかった。
世界は全部、
追いかけるためにあると信じていた。
僕はというと、
「転ばないかな。」
「危なくないかな。」
そんなことばかり考えていた。
親になるというのは、
子どもが空を見るように、
自分は地面を見るようになることなのかもしれない。
でも、
あの日の君は違った。
何度シャボン玉が消えても、
泣かなかった。
「なくなっちゃった。」
ではなく、
「次!」
まるで風と友達だった。
あの小さな背中は、
僕に何かを教えていたのだろう。
きっと人生も、
シャボン玉に似ている。
手に入れたと思った瞬間に消えるもの。
ずっと続くと思っていた時間が、
いつの間にか思い出になっていること。
だから美しいのかもしれない。
もし、
あの日を瓶に詰めて残せる魔法があったら、
僕は使っただろうか。
きっと使わない。
閉じ込められた思い出は、
もう風に乗れないから。
シャボン玉は、
飛ぶから美しい。
子どもも、
成長するから愛おしい。
今日も、
どこかで誰かがシャボン玉を吹いている。
その中には、
誰かの昨日が映り、
誰かの宝物が映り、
誰かの「もう戻れない時間」が、
そっと揺れているのかもしれない。
僕のシャボン玉には、
いつも君が映る。
三歳の君は、
今も変わらず笑っている。
時間は君を大きくしたけれど、
僕の記憶の中では、
今も風を追いかけている。
これから先、
君はたくさんの夢を追いかけるだろう。
届く夢もある。
届かない夢もある。
途中で割れてしまう夢も、
きっとある。
そんな時は、
無理に強がらなくていい。
少しくらい立ち止まってもいい。
振り返れば、
そこには僕がいる。
また前を向けるまで、
何度でも応援する。
あの日、
シャボン玉を追いかけていた君は、
夢中で空を見上げていた。
あの頃と同じように、
これからも君らしく、
見たい空を見上げればいい。
僕は、
君がどんな夢を追いかけても、
どんな道を選んでも、
ずっと味方だ。
シャボン玉が風に乗って飛んでいくたび、
僕はきっと、
あの日の君を思い出す。
そして今日も、
心の中でそっとつぶやく。
「いっておいで。」
「僕は、いつでも君を応援している。」
ここまで読んでくださり、
ありがとうございました🐽✨あなたの感想が、
次の物語を書くエネルギーになります。コメントやスキをいただけたら、
僕は今日もブヒブヒ頑張れます🐷💪また、別の物語でもお会いできたら嬉しいです🤝🌙



綺麗なものは触れると弾けて消えてしまう
そこだけ切り取るとなんかちょっと悲しそう
でも、弾けて消えた場所に
ぼんやりと残像が残っていたりする
一瞬だったり、
一生残る残像もあるのかもしれない
写真に納めることができた思い出も素敵
でも、記憶の中だけに残る思い出も
また、違った味があるのかななんて思った
綺麗なものは触れると弾けて消えてしまう
それでも、追いかけること、手を伸ばすことは
これからもやっていきたいと思う